君と過ごした日々
散乱した部屋の中で、巻物が静かに開いていた。
しかもそこの周りだけ物はなく、無事だった。
ご丁寧にひもがとれ、パラッとめくれている。
すべての文字が見えるように…
まるで己の存在を焼き付けるように…
すべてが、はじまると言うように。
そこで、声が響いた。
『 奈 都 ッ!』
男の子の、声が。
どこか懐かしく感じる、淡くて、柔らかい、誰かの声。
「い、いやぁっ……!」
途端に寒気がして、声を上げた。怖くなって、部屋からかけ出す。
何なの
何で、あんなに……!
いやいや、いやっ!
混乱して何も考えられなくなった。もう体だけで行動していた。
私、どうなっちゃうの……?