君と過ごした日々


そう、思い出すのは、ある国語の授業で。

先生が言ってた私の小さな心を揺さぶったあのことば。


「みんなー。私たちがこうやって生きているのは、過去に生きた人々の苦労と努力があってこそ、平和に過ごせているんですよ。もう少し前までは、とても悲しい出来事があったのです」


そこで先生の顔が静かに歪んでいたのを覚えている。何かに耐えた顔…幼い私には、何なのかまだよく分からなかった。

先生は戦争でおばあちゃんを亡くしているのだと言っていた。


「他の国の方たちと戦争、をしていたのです。それはもう人間とは思えない、残虐的なこともあったそうです。殺し、奪い、死に、その連鎖が続きたくさんの悲しみが日本中で巻き起こりました」


――殺し合い。

テレビに出てくるような生半可なものじゃないく、本当の殺人。自分の想像すら超える写真を見たときは、もう泣いていた。


「皆さん、昔のことはけして、けして、忘れてはいけません。憶という犠牲のなかで、築き上げてきたものを感謝し、これから生きていきましょう」


――その時代に、私が――

足元がふらついてしまう。

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