100万回の祈りをキミに




いつもと変わらない朝のホームルーム。教壇に立つ早坂先生は点呼を取ったあと、咳払いをしながら言った。


「えっと、文化祭も終わって片付けも無事終了したということで。これから席替えするぞー」

一気にざわっとするクラスメイトたち。

一昨日までお化け屋敷だった教室はキレイに元通りになって、今日から通常授業。文化祭で燃えつきたのかみんなどことなく覇気がなかったけど〝席替え〟という単語に元気を取り戻したようだ。


「マジで?好きな席がいい!」と一致団結してるけど、当然のごとく席決めはくじ引き。

黒板に簡単な座席番号を書いて、くじ引きをした順にそこに名前を書いていく。


「じゃ、公平に名前の順な。まず藍沢から」

先生が事前に用意した白い箱の中身をカラカラと混ぜた。


くじ運は昔から悪いほうで、商店街のガラポンはいつも参加賞のポケットティッシュ。神社のおみくじは小吉か末吉。

私が引きたい席はみんなが狙う一番後ろじゃなくて19番。

そう、亜紀が座っていたあの席。


全部の運を使い果たす勢いで箱から紙を一枚引いた。そこには14番と書かれていて、落胆しながら黒板に名前を書きにいくと「あ……」って思った。

引いた時は気づかなかったけど、14番は19番の隣の席だった。

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