100万回の祈りをキミに



なんで夏井と亜紀を重ねてしまうのか分からない。

亜紀もよく好き嫌いする私を見て代わりにニンジンを食べてくれたことがあったっけ。

子供だなぁ、なんて傷つくことは言わないけど、アイツの言動や行動は私の記憶にいる亜紀に触れてくる。


その日の帰り道。バスを待っている間スマホを確認するとお母さんからメールがきていた。


【牛乳とケチャップともやし買ってきて】

この組み合わせはなんなんだろう、と思いつつ【分かった】と返信をした。

帰り道にスーパーに寄るにはいつもとは違うバス停で降りないといけない。面倒だなって思ってるけど、あとで文句を言われるほうが面倒だから。


バスの窓から見える景色は季節ごとに変わっていく。

この前まで陽炎がでるほどアスファルトがジリジリとしていたのに、冬の息吹きがすぐそこまで来てる。


冬は嫌い。大嫌い。

私と亜紀を引き裂いた冬なんて、こなければいいのに。

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