100万回の祈りをキミに
「波瑠。今日委員会なんだけど、そんなに時間はかからないから一緒に帰らない?久しぶりに部活も休みだしさ」
放課後。凪子は美化委員会に入っていて慌ただしく準備をしていた。
「うん。じゃ教室で待ってるよ」
すでに教室には数人のクラスメイトしか残ってなくて、私は凪子が帰ってくるまで本でも読んでいることにした。
麗花先輩たちに呼び出されたことは凪子には話していない。
罵倒される綾乃を見た時、凪子はすごく怯えていたし、話したら心配かけちゃうと思ったから。
きっと麗花先輩は亜紀のことが好きなんだろうなって、直感で気づいた。
だから仲良くする人は許せないし邪魔な芽は潰しておこうと思ってるんだろうけど簡単な話、ただの焼きもちだ。
そんなことをしなくても亜紀が好きなら堂々とすればいいのに……って難しいよね。
私は運よく亜紀と接点を持ててるけど、そうじゃない人は心で想うことしかできないのだから。
きっと亜紀と話したい人はいっぱいいるし、私はすごく贅沢なことをさせてもらってるんだと思う。
「へぇ、波瑠って本とか読むんだ」
私以外だれもいないはずの教室で声がした。しかもそれは座っている背後から。
「ひぃぃ……!」
ゾワッと鳥肌が立って、自分でも驚くような悲鳴を出してしまった。