100万回の祈りをキミに
「ねぇ、バスケとかヤバくない?写メ撮りたい!」
合同といっても体育館は半分に区切られて左側が3年生、右側が1年生で使うことになった。
クラスの女子は授業そっちのけで左側しか見てないし、目が漫画のようにハートになっている。
「亜紀先輩をこんな間近で拝めるなんて泣きそう!」
「ジャージ姿まじヤバい!」
「うちのクラスの男子と1日でいいから交換してくれないかな。そしたら私亜紀先輩の隣座る~」
「いや、私だから!」
忘れてたわけじゃないけど、亜紀の人気の凄さを再確認した。サッカー部のエースだったし、部活中も亜紀のファンの野次馬がたくさんいたっけ。
そんな人と毎日のようにメールして、遊ぶ約束をして、おまけに名前で呼び合う仲なんて……自分でも信じられない。
「ねぇ亜紀~」
そんな中、1年生に見せつけるように麗花先輩が亜紀の腕を触る。
この前までアッキーって呼んでたのに今日は亜紀と名前呼び。親しいと思わせる為にわざと言ってそうだけど、それでも亜紀に触れる麗花先輩を見たくない。
「麗花先輩キレイだよね。もしかしてあのふたり付き合ってるのかな?」
「えー。でもお似合いかも。美男美女だし、うちら凡人には近づけない存在だしね」
チクチクと胸に針を刺されている感覚。
たしかに私の目から見てもあのふたりはお似合いだ。並んでも絵になるし、誰からも文句言われないし、私なんて凡人の中の凡人だし。
分かっていたことだけど現実を目の当たりにして、ちょっと落ちこんだ。