100万回の祈りをキミに
「はぁ……」
ずっとため息が止まらない。
「波瑠。気にすることないよ。私は麗花先輩より波瑠のほうがお似合いだと思うよ?」
ボールを片付けてる間、凪子はそう励ましてくれたけどやっぱりため息をついてしまう。
……私って本当に欲張りになりすぎてるのかも。
彼女になりたいって思うだけでおこがましいって思ってたのに、いつの間にか夢が願望に変わって。
亜紀と私が釣り合わないことぐらい自分で分かっていたはずなのにな……。
「何回も目合ったのにシカトしたでしょ?」
耳元で囁かれる重低音にドキッ!と体が反応した。
「あ、あ……」
「傷ついてシュート何度か失敗しちゃった」
亜紀は抱えていたボールをカゴに入れた。
まだ胸がドキドキしてる。耳元で囁くとか反則すぎる。こっちの気持ちも知らないで……。
「亜紀先輩のことを見て、うちの女子たちが飛び跳ねてましたよ」
「飛び跳ねる?魚みたいだね」
そして普通の会話をはじめる凪子と亜紀。
このふたりの空間感って妙に似てるんだよね……。だからどっちと一緒にいても居心地がいいのかな。
「じゃ、そろそろ行くね。波瑠も次の授業に遅れないように」
亜紀はポンポンと私の頭を撫でて行ってしまった。
この余韻にひたっていたいけど、用具室の扉の向こうで麗花先輩と目が合って、背筋が凍りついた。