100万回の祈りをキミに
次の日、下駄箱にはなにも入ってなかった。
「やっぱりただのイタズラだったんだねー」と凪子は安心してたけど私の胸はまだざわついている。
だって昨日の麗花先輩の目は背けたくなるほど怖くて〝許さない〟って感情がむき出しだった。
このまま、なにごともなく過ぎ去ってくれればいいけど、嫌な予感ほど的中してしまうもの。
「波瑠。試験管とビーカーってこの棚でいいんだよね?」
5限目の理科の授業が終わったあと、私と凪子は残って実験の後片付けをしていた。理科の先生が手っ取り早く今日の日直の人に頼んで、それが凪子だったから私も手伝っている。
「ごめんね。本当にこういう時って男子は逃げ足速いよね!」
凪子の隣の席の斎藤くんはいち早く片付けから逃げた。
「まぁ、しかたないよ。私けっこう実験あとの火薬が残ってる部屋の匂い好きだし」
「もう波瑠は甘いよ~」
そんな話をしている内に片付けは終わった。
「あ、先生鍵閉めてって言ってたけど鍵なくない?」
「ポケットに入れっぱなしで持ってっちゃったのかも」
「だよねー。あとで怒られるの嫌だし私取りにいってくるね!」
凪子は急いで理科室を出ていった。