100万回の祈りをキミに
そういえば理科室の机ってみんな落書きしてて、たまに好きな人の名前とか書いてあったりするんだよね。
私は凪子が戻ってくるまで机を見て回っていた。
するとガラッと扉が開いて「凪子鍵……」と言いかけた言葉はすぐに消えた。
「あのさ、目障りだって言ったよね?」
そこにいたのは麗花先輩と数人の女子。
ドクンドクンと嫌な汗が流れる。
何故か前と後ろにある扉の前にひとりずつ女子が立って、まるで誰も入ってこれないように見張ってるみたい。
ジリジリと麗花先輩は私に近づいてくる。
私はその迫力に圧倒されて後退りしてしまったけど、すぐに実験用具が閉まってある棚にぶつかって下がれなくなった。
「本当にうざいんだよね。アンタみたいなヤツ」
ど、どうしよう……。
昨日のあの顔を見てこのまま終わるはずがないって思ってたけど、いざ直面すると恐怖で足がすくむ。
だけど悪いことをしたわけじゃないし、気分を害したのかもしれないけど黙っていたら……なめられるだけだ。
「亜紀は誰にでも優しいから勘違いしちゃうのも分かるけど、アンタみたいなガキは本来相手にすらされないから。むしろ面白がってからかわれてるだけだってなんで気づけないかな?」
麗花先輩の言葉にクスクスと笑いはじめる女子たち。
私を見下してるって分かる。私は1年生だしガキだし恋愛経験もないし、亜紀の優しさに浮かれているって自覚もしてる。
だけどこんなことになんの意味があるの?
亜紀が誰と仲良くして誰と親しくしようと亜紀の自由でしょ?たしかに特別な椅子はひとつしかないけど、裏で誰かを傷つけて蹴落とすのは間違ってる。