100万回の祈りをキミに
「アンタなんて恋愛対象に見られてないから親しくできるんだよ?1年は1年らしくダサい同級生と仲良くしてろよ」
「………」
「亜紀の連絡先知ってるんでしょ?スマホ貸して。今すぐ消すから」
恐怖がいつの間にか怒りに変わっていた。
「嫌です。私は亜紀が好きだから言いなりにはならない」
好きって言葉は一番最初に亜紀に伝えたかったけど、麗花先輩の〝好き〟と私の〝好き〟を同じにしてほしくなかったから。
こんな風に歪んだ想いとだけは一緒にされたくない。
「は?」
「こんなことして亜紀が迷惑すると思わないんですか?亜紀が知ったら……」
「亜紀亜紀うるせーんだよ!!」
ドンッ!と体を押されて私の頭は棚にぶつかった。中にある実験用具がゆらゆらと揺れていて、当たりどころが悪かったのか頭がズキズキする。
その時ガラッと扉が開いてすぐ凪子の顔が見えた。
「波瑠~。鍵あったよって……な、なに?」
「凪子来ちゃダメだよ!」
今凪子が私を助けようとしてくれても、この人数じゃ勝てない。
凪子はこの状況に困惑していたけど、すぐに理解したみたいで慌てて足を一歩下げた。
「……い、今だれか呼びに行ってくるから待ってて……!」
バタバタと走る足音が遠退いていく。
「先生呼ばれる前に誰かあの子捕まえて。そのあと口を封じるなり適当に痛めつけていいから」
そう麗花先輩が指示すると扉に立っていた女子が慌てて凪子を追いかけにいった。