100万回の祈りをキミに
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すべての始まりは中学1年生の時だった。
憧れのセーラー服を着て、部活は陸上部に入って運動も勉強も頑張ろうと毎日が新鮮だった。
「そういえば綾乃(あやの)彼氏できたらしいよ」
同じクラスの凪子とは掃除場所が一緒になって以来、ずっと行動を共にする仲になっていた。
小学校までは恋愛の話なんてなかったのに、今は誰々が付き合ってるとか誰々が別れたとかそんな話題ばかり。
放課後一緒に帰ったり、休みの日は遊びにいったり。
男子とふたりきりでなに話すの?ってか沈黙とかになったら気まずくない?なんて言ってる私には恋愛なんてまだ先のことだと思ってた。
「じゃ帰りいつもの場所で待ってるから一緒に帰ろうね~」
放課後、凪子はそう言ってバドミントン部に行った。
部活動は一応所属しなきゃいけない決まりだけど、ちょっと不良の人や目立つグループの人たちは部活をやらずに帰る。
正門までは自転車を押して行かなきゃいけないのに、髪を染めた人たちがふたり乗りで横を通りすぎていった。
小学校とは違い中学校には上下関係があって、挨拶は必須。
たかが1歳や2歳の差がここでは大きなことで、怖い先輩はとくに生意気な1年生がいないか目を光らせている。
すでに呼び出されて泣いて帰ってきた女の子もいるし、とにかく1年生は肩身の狭い思いをしていた。
……あ。綾乃だ。
綾乃とは同じ小学校出身であんまり目立つタイプでもなかったのに、最近は彼氏ができたからかちょっと雰囲気が違う。
しかも彼氏は2年生で、どういう経緯で付き合うことになったか知らないけどすごいなぁって感心する。
あんなにソフトボールを頑張っていたのに彼氏ができてから部活にも行かないし。
恋愛すると人が変わるというのは本当らしい。