100万回の祈りをキミに
おそるおそる目を開けると、そこにいたのは麗花先輩の腕を掴む亜紀だった。
「ハァ……ハァ……お前なにしてんの?」
亜紀の息は上がっていた。
なんで亜紀がここにいるのか分からないけど、
私は安心して力が抜けてしまった。
「なんでアッキーが……」
「なにしてんだって聞いてんだよ!!」
麗花先輩の肩がビクッと震える。
それもそのはずだ。
亜紀の顔は今まで見たことのないような怖い顔をしていて、その怒鳴り声すら普段の亜紀からは想像できないものだった。
「ちょ、ちょっと遊んでただけだよぉ。そんな怖い顔しなくたって……痛っ」
麗花先輩を掴む亜紀の手が強くなる。
可愛い子ぶっても誤魔化せないと思ったのか、麗花先輩は突然怒りはじめた。
「なんなの?今まで庇ったり特別扱いする子なんていなかったじゃん!いつも好きな人はいない、彼女もいらないって。いつか彼女にしてって言っても笑うだけ。それがアッキーでしょ?なのになんでこの子にだけそんなに違うことするの?」
麗花先輩の声が理科室に響く。
悔しいのか悲しいのか、先輩はポロポロと泣き出して亜紀はそっと手を離した。そして……。
「大事な子だから。これ以上なにもしないで。もし同じようなことしたら絶対許さないから」
その強い目を見て麗花先輩は逃げるように理科室から飛び出していった。