100万回の祈りをキミに


それから私はコンビニに行くために着替えて外にでた。


たまにふっと、自分の顔が分からなくなる時がある。

素顔を隠すお面は日に日に増えていって、それを付けることが苦痛だったはずなのに最近はなんてラクなんだろうって思う。

亜紀がいなくなって私は〝現実〟という扉を閉めた。

なにも見ない、なにも聞かない、なにも感じないことで私は私を守っている。


「藍沢?」

コンビニで50円引きのお弁当を買って、その帰り道。自転車に乗っていた夏井に会った。


「お、藍沢も弁当?実は俺も」

夏井はまだ制服姿だった。

もちろん学校帰りじゃないし、きっとフットサルに行ってきた帰りなんだろう。


亜紀と知り合いだったことを知って、色んなことがパズルのピースのように当てはまった。

部活に入らない理由を聞いた時、他のことが忙しくて……なんて歯切れの悪い言い方をしていた時や、お盆に庭園から出てきた時だって、亜紀のところに行ってたんじゃないかって思ってる。

丁寧に電話で話していた人は知らないけど、フットサルでお世話になったなら亜紀に会いにいっても不思議じゃない。


「藍沢はさぁ……」

夏井はいつの間にか自転車を降りていて、私と同じように徒歩で歩いていた。


「な、なに?」

なんとなく亜紀のことを聞かれるんじゃないかって思った。


「よく授業中眠くならないよな」

「え、は?」

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