100万回の祈りをキミに



「各自準備運動して。今日は外周なしでグラウンド一周してから種目別の自主練ね。今日先生いないけどダラダラやったらペナルティあるからね。いい?」

「はい!」


陸上部もまた上下関係には厳しくて部長なんて顧問の先生と同じくらいの権限があるけど、タイムが上がったりすれば褒めてくれるしアドバイスもしてくれるから、威張ってる先輩たちとは違う。

私の種目は短距離でいつか大会に出たいなぁ、なんて思ってるけど1年生で選手に選ばれる人はひと握りだから諦めている。


グラウンドの一周は野球部やサッカー部の邪魔にならないように外側をなるべく走った。先頭は部長率いる3年、次は2年で最後は1年の私たち。


――その時「きゃー!」と黄色い声援が聞こえてきた。

それはいつものことだった。


放課後になるとサッカー部の練習を見に女子たちが集まる。部活そっちのけで○○くーんなんて応援したり。

凪子いわく、サッカー部にはモテる男子がたくさんいるんだって。とくにこの学校にはみんなが憧れる先輩がいるらしくて、たしか名前は……。


「――あぶないっ!!」


誰かのそんな声と同時に私の頭が大きく揺れた。

ドンッ!という衝撃音と頭が真っ白になる感覚。

なにが起こったのか分からないけど、気づくと私は地面に倒れていた。私の顔を覗きこむ陸上部の仲間たちがぼんやりと見えて、それは次第に消えていく。


……なんだろう。なにが起きたんだろう。

私はそのまま意識を失った。


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