100万回の祈りをキミに
「捨て犬だったんだっけ?」
「うん。フットサルの近くで箱に入れられててさ。キャンキャン鳴いているし見つけたからには放っておけなくて」
こんなに可愛い子犬を捨てるなんて本当にありえない……!飼えないなら生き物を飼う資格なんてないと思う。
亜紀はすぐにゲージから犬を出してくれて私に抱っこさせてくれた。
「可愛い~!本当にフワフワで人懐っこいね」
「いやダメな人にはぜんぜん寄り付かないよ?こいつも波瑠が好きなんだな」
ドキッ。今こいつも、って言ったよね?
その〝も〟は亜紀のこと……だよね。ああ、どうしよう。嬉しすぎる。
「こ、この子の名前とか決まってるの?」
話を反らさないとニヤニヤが止まらなくなりそうだ。
「うん。ケン」
「ケン?女の子かと思ったけど男の子だったんだ」
亜紀はケンを飼うことに決めたらしい。最初は保護だけのつもりだったけど毎日この顔を見てたら手放せなくなっちゃったんだって。
「でも母さんと父さんどっちも動物苦手でさ。俺が全部世話することになるからこれから大変だけど」
「私も手伝うよ!散歩とか行くし近所に動物病院があるからなにかあったらいつでも……」
「ありがとう波瑠」
ケンを撫でる手とはまた違う優しいで私の頭を撫でる。