100万回の祈りをキミに
現実とは逆にその間に見ていた夢はすごく呑気な夢だった。大好きなアイスクリームをこれでもかってぐらい食べてる夢。
ああ、こんな美味しいアイスが食べ放題なんて天国かも。
ぱくっと大きな口を開けてかぶりつく寸前に、私の意識は戻った。
目を覚ますとなぜかグラウンドにいたはずなのに白い天井が広がっていて、この匂いは保健室だ。
確かめるように体を起こそうとすると、右側からだれかの手が伸びてきて私はまたベッドに倒されてしまった。
「まだ起きちゃダメだよ」
知らない声がして横を見ると、そこにはひとりの男子が座っていた。
サッカー部のユニフォームを着ていて、私を心配そうな顔で見ている。
「ごめん。俺が蹴ったボールがキミの頭に当たっちゃって……。大丈夫?本当にごめん!」
あれはサッカーボールだったのか。
あの時はなにがなんだか分からなくて痛みも感じなかったけど、今はちょっとだけ頭がズキズキする。
「あ、ぜんぜん大丈夫……です」
「いや、大丈夫じゃないよ。かなり勢いよく蹴ったやつだもん。マジでごめん。ごめんなさい」
別に怒ってないのに何回も謝ってくれて、こっちが恐縮するぐらい。
とっさに敬語で返したけど、たぶん先輩だよね?
こんな同級生見たことないし、それに……。一般人とは思えないほどのキレイな顔。
それはため息がでるくらい整っていて、思わず見入ってしまったけど失礼だと思い、視線を変えた。