100万回の祈りをキミに
私は亜紀のおかげで世界がカラフルになって、思い返せばずっと笑っていた1年間だったと思う。
だから亜紀には感謝しかない。
「波瑠」
まるで息を吐くように、亜紀が私の名前を呼んだ。
この亜紀が呼ぶ〝波瑠〟が一番心地いい。
「俺はこう見えてひとつのことしかできないタイプでさ。簡単に言えばスポーツバカっていうか……サッカーとフットサルのことしか頭になかった」
「………」
「一日中そればっかりで本当に頭の中の9割りはそれ。だけど波瑠と出逢ってそれが変わった」
亜紀のビー玉みたいな目がまっすぐに私のことを見つめている。
だれもいない屋上。お互いの体温がわかるぐらい私たちの気持ちは同じ。
「朝起きて昼が過ぎて夜になって眠る間も、俺はずっと波瑠のことばっかり考えてる。波瑠は俺にとって太陽みたいな存在で、一緒にいると心も体も全部が暖かいんだ」
亜紀が私の手を握った。
亜紀も私と同じようにドキドキしていて、なぜか私の右目からぽろりと涙が流れた。
「波瑠。俺は波瑠が好きだ。だから俺と付き合ってください」
少し赤くなる亜紀の耳。
それがたまらなく愛しくて、私は亜紀の手をぎゅっと握り返した。
「私も亜紀が好き。大好きです」
やっと言えた言葉。
もう私たちに距離はない。それを確かめるように亜紀と強く抱き合って、また嬉しくて涙がでた。