100万回の祈りをキミに



「波瑠……」と亜紀は私の涙を手で拭う。そしてその手が優しく頬を包んで亜紀の顔がゆっくりと近づいてきた。

唇が触れ合う寸前。

私は「あ……!」と思い出したように声を上げた。


「え、どうしたの?」

タイミング的にここじゃなかったと後悔したけど、どうしても今日中に言わなきゃいけないことがある。


「亜紀、卒業おめでとう」

亜紀の中学3年間で私が関われたのはほんの一部だと思うけど、これからはたくさん一緒に笑っていたい。

そして新しく始まる高校生活やその他のことを、亜紀が心から楽しめるように祈ってる。


「はは、波瑠は波瑠だなぁ」

「ごめん。言ってなかったって今思い出して……」


私の言葉が言い終わる前に亜紀のおでこが私に当たった。

亜紀に包まれている顔がくすぐったい。
そして……。


「波瑠ありがとう」

亜紀は私にキスをした。

それは優しい優しいキスだった。



ねぇ、亜紀。

この時にはもう運命は決まっていたのかな?

どうして亜紀なの?どうして亜紀だったの?

どうして、どうしてを繰り返して、今もずっと考えている。


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