100万回の祈りをキミに
「えーでも友達にもドキドキしたりしない?ふいに違うことされたり男らしいところ見たりしたらさ」
「じゃその人とキスできる?それけっこう重要かも」
「うーん。しようと思えばできちゃうかなぁ。私けっこう普段からスキンシップとか激しいほうだし」
そのあともこれはこうだ、とかあれはちょっととか、恋愛理論のようなものが続き、なぜか視線は私のほうへ。
「藍沢さんはどう思う?」
「え……?」
まさか話を振られるとは思ってなかった。ずっと空気のように存在を消してたのに……。
「えっと、私は……」
うまく誤魔化そうとしたけど、みんな私に注目してる。経験ないから分かんないって笑うべき?でもけっこう真剣に悩んでるし……。
「私は……分からないけど、好きってことだけを意識しなくてもいいような気がする」
たったひと言ふた言で済まそうと思ったのに、不思議と言葉が次から次へと出てきた。
「大切なのはその人とどんな関係でいたいかで。相手となんでもできるから恋じゃなくて自分がしたいと思えることが大事で……」
って、私なにを言ってるんだろう。
急に我に返って口を閉じた。
ほら、なんかシーンとしちゃってるじゃん。私のバカ。
すると、相談してきた女子が「なんか今ハッとしたよ!」と声を上げた。
「そうだよね。気持ちだよね!私その男友達と近い関係でいるけど、くっついていたいなぁとか思ったことないもん」
どうやら解決したみたいで、続きのお弁当を食べはじめた。