100万回の祈りをキミに
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それから数日が経って、突然凪子から「実は彼氏ができた」と報告された。
相手は同じクラスの岡辺(おかべ)くん。あんまり顔は知らないけど、どうやらサッカー部で部活帰りに鉢合わせすることが多くて親しくなったんだとか。
凪子が彼氏なんて、ちょっと意外だった。
ずっとイーグル一筋だって言ってたし、スマホの画面もアドレスも全部イーグルばかり。
好きな人がいるとか気になる人の話も聞いたことないし、むしろ岡辺くんってだれ?って感じだし。
凪子が悪いんじゃなくて、私が恋愛の話をさせにくくしていたのは事実で。友達失格かも……なんて、今日はちょっと落ちこんでいる。
「お、ぼっちの人発見」
中庭でお弁当を食べていた時、夏井がジュース片手に通りかかった。
「ぼっちじゃないし。さっき凪子が先生に呼ばれて行っちゃっただけ」
夏井って本当にどこにでも神出鬼没する。たまに影分身ができるんじゃないかって疑うほど。
「あ、またニンジン残してる」
夏井は目ざとくすぐ嫌なことばかりを見つけてくる。
……昨日は入ってなかったのに、なんで入っている時に限ってこいつに目撃されてしまうのか。
「食ってやろうか」
「いい」
「遠慮すんなって」
「してないから、あ……」
夏井は行儀わるく手掴みでニンジンを取って、それを口に入れてしまった。
「残して帰ったらお前のお母さんが可哀想だろ」
一見いいことを言ってるけど、ただ単に夏井が食べたかっただけでしょ。夏井なら落ちてるものでも平気で食べそうだ。