100万回の祈りをキミに
それから亜紀の部屋でゆっくりしたあと、私たちは外へ出掛けた。
亜紀の入学準備でバタバタとしていて、フットサルのコートになかなか行けてなくて。「今日は天気がいいし久しぶりに行く?」と亜紀が誘ってくれた。
「いきなり行って誰かいるの?」
「平日は学校帰りの学生が多めだけど、日曜日は大学生とか社会人とかの大人のひとが多分練習してると思うよ」
亜紀は高校では部活動はしないらしい。
またサッカー部に入ると思ってたのに、両立するのは大変だからフットサルを優先に頑張ると言っていた。
「なにか温かいものでも飲みながら行く?」
「うん。あ、あそこにコンビニあるよ」
私たちはいつの間にか自然と外では手を繋ぐようになっていた。コンビニぐらいだったら繋いだまま入っちゃうし。
周りからはバカップルだって思われちゃうかもしれないけど。
ちょっと前までは亜紀のファンに刺されたらどうしようとか、また怖いことが起きたらって考えてたけど。亜紀の言うとおり卒業したらそれの怖さもなくなって堂々とできるようになった。
亜紀のことを彼氏だって言えることも嬉しいけど、それ以上に亜紀が彼女ですって私のことを紹介してくれるのが嬉しい。
川沿いの道をふたりでココアを飲みながら歩いて、緑色のフェンスが見えてきた頃には騒がしい声が聞こえてきた。