100万回の祈りをキミに



その帰り道。私たちはまた手を繋いで歩いていた。


「そういえば夏に試合があるとか言ってたけど」

「地域別リーグっていうのがあって、小さい試合なんだけどエントリーの申し込みどうするかって話てて」

「出るの?」

「うん。リーグってだけで張り切る連中ばっかりだから、これからは毎日練習漬けかな」

「私応援に行ってもいい?」

「もちろん!」


亜紀が試合してるところ見たことないし今から楽しみだなぁ。そうだ。凪子も誘ってみよう!家に引きこもってイーグルの音楽ばっかり聞いてるから。


――と、その時。

突然亜紀が足を止めて、繋いでいた手が離れた。


「どうしたの?」

なにやらこめかみら辺を押さえて苦い顔をしている。


「いや、ちょっと頭痛がしてさ……」

「え?大丈夫?風邪?」

「風邪じゃないと思うけど最近偏頭痛がするんだよね」

「そうなの?季節の変わり目だからかな……?」

「環境の変化とかでもなるらしいけどね。まぁ、もう痛くないから平気」

そう言って亜紀は再び歩きはじめた。


「ひどいようなら病院に行きなよ」

「うん。あ、今思い出したけど父さんがまた望遠鏡見にきていいって」

「本当?」

私たちはまた行きと同じようにココアを買って、今度は半分っこしながら家へと帰った。

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