100万回の祈りをキミに




それから暫く経って、亜紀は言っていた通り風邪をひいた。なんでも朝から強い頭痛がして吐き気もひどいらしい。


「凪子。私今日早く帰るから日直代わってくれない?」

よりにもよって日直当番だし、黒板の文字はびっしり書いてあるし。


「亜紀先輩のところ行くんでしょ?いいよ。早く行きな」

「ありがとう凪子!」

私はあとのことを任せて急いで学校を出た。

途中コンビニで消化に良さそうなゼリーを買って、亜紀の家のインターホンを鳴らすとガチャリと玄関が開いて、出てきたのは亜紀だった。


「だ、大丈夫?」

なんだか亜紀が青い顔をしていた。


「うん。今は落ち着いてる。母さんも父さんも仕事でいないから来てくれて助かった。とりあえず上がって」

案内されたのはリビングでケンのゲージもここに移動されていた。


「2階に上がる気力がなくてさ」

「ええ?そ、そんなにひどかったの?」

「朝はね。でも市販の頭痛薬と吐き気止め飲んだら随分ラクになった」


亜紀のおでこを触ったけど熱はなさそう。もしかして食中毒とか?今朝のニュースでも胃腸炎が流行ってるって言ってたし。

亜紀のお母さんもパートが休めなかったらしく、帰ってくるのは6時過ぎらしい。

台所には食べた食器がそのままになっていて、ケンがイタズラした箇所もそのまま。


「ああ、ごめん。今日に限ってケンは言うこときかないし、おやつの袋とか勝手に引っ張り出すしさ」

「はは。かまってほしかったんじゃない?いいよ。私が片付けておく」

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