100万回の祈りをキミに
私に断る資格はない。だって凪子はフットサルに興味がなくても私が誘えば必ず一緒に来てくれたし、今のは確実に「行く」と言わなければいけないはずだった。
だけどサッカーと聞いて、試合と聞いて、やっぱり私は亜紀のことを浮かべてしまう。
昨日あんな夢を見たから余計に。
「あ、べつに試合とか見なくても、そのあと待ち合わせとかしてもいいよ?試合は14時には終わるって言ってたし、それからでも……」
「あのさ……!」
強い口調をしてしまった。
ずっとずっと平常心の仮面を付けて、なにがあっても笑っていられる自分を作り上げたはずだった。
なのに、その仮面が少しずつひび割れていく。
「そういうの行く気分になれないっていうか……。凪子なら少しは気を遣ってくれるって思ってた」
最低だ。私。
自分の本当の気持ちを隠していたくせに、気を遣ってほしいなんて最低すぎて笑える。
しかもその空気に耐えられず席をたったのは私のほうで。これで凪子が私から離れても仕方ないなって思った。
罪悪感はちゃんとあるのに、自分だけが置いていかれてるような気がして、充実している人を見ると嫉妬のような黒い感情さえ芽生える。
凪子にそんな感情を抱いたら終わりだ。