100万回の祈りをキミに



暫くしてベンチに春風のチームがやってきた。

室内だからピッチも狭いし、みんなの顔がよく見える。


「亜紀!」

私が声をかけるとすぐに気づいてくれて、亜紀はこっちに手を振った。春風のユニフォームを着て試合に挑む亜紀は初めて見て、その背番号は5番。


「亜紀先輩のこと久しぶりに見たけど、ますますカッコよくなってない?これでまたファンができちゃったりして」

「もう、凪子やめてよ」

本当に心配だよ。

応援にきてる人たちはみんな若い人ばかりだし、中には目を引くような可愛い子もいて、亜紀を見つけませんように……!と謎の念を送っておいた。


「あ、波瑠。試合はじまるよ!」

1回戦目の相手は平岸(ひらぎし)というチームだった。紫色を基調にしたユニフォームで、すごく目立つ。

まずは互いのキャプテンがコイントスをして、勝ったら攻めるゴールを決められる。勝ったのは亜紀で、春風は左側のゴールを攻めることになった。

そして、ピピィィというホイッスルで試合は始まった。


一気に盛り上がる会場。

なんだか相手チームの応援のほうが多い気がするけど負けない。


「亜紀!亜紀頑張れ!」

私はありったけの声で叫んだ。

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