100万回の祈りをキミに
天文部は結局部員数が足らなくて観測合宿はできないみたいだし。一応部活の先輩に屋上で観察しましょうと誘ったけど、忍びこむ勇気はないときっぱり断られてしまった。
それで凪子を誘ってここに来たけど、やっぱり雲が多そうだし、期待できないかも……。
「そういえば亜紀先輩はなにしてるの?誘えばよかったのに」
凪子は望遠鏡を覗きながら温かい紅茶を飲んでいた。
「いや、来たがってたんだけどね。また2日前から偏頭痛に悩まされてて。それでも行くっていうから私が止めたの」
「えー風邪?」
「うーん」
亜紀の偏頭痛はあれから頻繁に起こるようになっていた。だけど頭痛薬を飲めばすぐ改善されて、病院ではストレスじゃないかって言われたらしい。
私が見てる限りストレスが溜まるようなことはしてないし、勉強も適度に手を抜いてるから勉強疲れでもなさそうだし。
「あ、そうそう!この前私コンビニで亜紀先輩に会ったんだよ。メガネかけてたから一瞬だれだか分からなかった」
「あれ、凪子そんなずっと亜紀のこと見てないっけ?」
「あの夏の試合以来だから2か月くらいかな」