100万回の祈りをキミに
結局、あの試合は2回戦目で敗退してしまった。相手が前回の優勝チームだったし、運がわるかったってみんな言ってたけど亜紀だけは実力の差だよと言っていた。
あの帰り道に亜紀の目に異変が起きて。
次の日、眼科に行ったら視力が急激に落ちてるからすぐメガネを作るようにと言われてしまったらしい。
だから夏から亜紀はずっとメガネ姿。
その原因もいまだに不明でやっぱりストレスという診断がでたけど、絶対ストレスなんかじゃないと思う。
もっと大きな病院で診てもらったほうがいいような気がするけど、普段の亜紀は元気だし学校帰りには毎日フットサルのコートに行っている。
あの姿を見るとやっぱり大丈夫だなって安心できるけど、たまに襲う頭痛と吐き気がなんなのか、ずっと気になって仕方がない。
「私今度イーグルのライブチケットが当たりますようにって願掛けしにいくから、亜紀先輩の風邪も良くなりますようにってお願いしとくよ」
凪子は本当になんでも願掛けしちゃうんだから。
「亜紀が良くなりますようにって願いごとするなら星空にするよ」
「えー波瑠ってばロマンチック」
「はは」
結局、そのあとオリオン座流星群は雲が多くて見ることはできなかった。
今でも思う。
あの時、流星群が流れて願いごとが言えていたら神様は叶えてくれたのかなって。
もしも、何かが違っていたら。
もしも、もう少し早く気づいていたら何かが変わっていたの?
そんなことを考えてもキリがないことは分かってる。だけど誰かのせいにしないと押し潰されてしまう夜もある。