100万回の祈りをキミに

・現実と狭間





凪子と気まずくなってもう3日が過ぎていた。

クラスは違うし部活で忙しそうだしと色々自分に言い訳をしているけど、凪子を避けているのは私のほう。

どんな顔して凪子に会えばいいのか分からない。


「なぁ、藍沢いま暇?」


休み時間。ひとりで窓の外を眺めていたら夏井が声をかけてきた。


「暇じゃない」

「いや、すげー暇そうだよ。景色見ちゃうぐらい暇ならちょっと手伝ってくれない?」

夏井の机にはたくさんの本が積まれていた。読書週間とかで教室に本が並べてあったのは知っている。

きっと授業中居眠りばかりしている夏井に早坂先生が雑用でも頼んだのだろう。


「これ図書室に返してこいとか言われてさ」

「私が言われたわけじゃないし……ってちょっと!」

夏井は強引に本を半分私に押しつけてきて「早く行くぞ」となぜか上から目線。

はぁ……。寒いから廊下に出たくなかったのに。


「今日は昼飯さー、たぬきうどんときつねうどんどっちがいいと思う?」

「………」


凪子と喧嘩してから夏井は以前よりもよく話しかけてくるようになった。

いつも休み時間になればフラフラッと他のクラスに遊びにいったりするのに、私が席に座ってると真似するように夏井も動かない。

同情されてたら嫌だな……って思うけど、言ったところで「自意識過剰」と笑われるだけだ。

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