100万回の祈りをキミに



廊下を出てすぐにある休憩室にはソファーと外の景色を眺められるようにカウンター席が4つ。

そして自販機が2台にお菓子やアメニティグッズが買える販売機が1台。他に湯沸し器や製氷器、電気レンジもあって快適に過ごせる空間になっていた。

亜紀は温かいミルクティーを買ってくれて、私たちはソファーに隣同士に座った。


「倒れたって聞いてビックリした」

休日でいつものように目覚ましをかけずに寝ていたら、枕元でスマホが鳴って。

亜紀からの着信だったからすぐに出たら亜紀じゃなく、それはお母さんで。

もうそこからは慌てて飛び起きて、髪の毛だってボサボサのままここに来ちゃったよ。


「心配かけてごめん。朝急に強い頭痛に襲われて。いつもの偏頭痛かなって思ったんだけど、ハンマーで殴られてるんじゃないかって思うほどひどくてさ。それでだんだん意識が朦朧(もうろう)としてきて……それで母さんが救急車を呼んだんだよ」

「い、今は平気なの?」

「うん。この通りぜんぜん元気」


だけどやっぱりその顔色はいつもより悪そうに見えた。私にこれ以上心配かけたくないからムリしてるんじゃないのかな……。

それに意識が飛ぶほどの頭痛なんて普通じゃない。しかもハンマーで殴られてるような痛みなんて……。


「それで先生には診てもらったの?」

いつもストレスっていう簡単な理由しか言われてこなかったけど、ここは大きな病院だし、腕のいい医者もいるって前に誰かが言ってたっけ。

ここ数か月の亜紀の不調の原因がなにか分かるかもしれない。


「なんか詳しい検査をしないとはっきりとした病名はわからないって。だから今日1日入院して、明日MRIを撮るって言われたよ」

「……そんなに大きな検査なの?」

「うーん。念のためらしいけど。まぁ、なにも見つからないと思うからやっぱりストレスか気の持ちようなのかもね。最近たるんでるからなぁ。俺」

亜紀はあはは、と笑ってたけど私の胸騒ぎはずっと取れなかった。

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