100万回の祈りをキミに
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「ねぇ波瑠。わるいんだけどこれキヨさんの所に届けてくれない?」
週末の土曜日。
リビングで録り溜めていたドラマを見ているとお母さんが透明のタッパーを持ってきた。
その中には野菜たっぷりの煮物が入っていて、さっきからいい匂いがすると思ってたけどこれを作っていたようだ。
「帰りに好きなアイス買ってきていいから。ね?お願い」
あれからキヨさんは無事退院して、今は自宅で療養している。私は一度もお見舞いに行かなかったし、お母さんも忙しそうだから見ていた録画を止めて私は部屋着から暖かい格好に着替えた。
夏にスイカを抱えて行った時は長く感じたのに、今日はあっという間でキヨさんの家まで10分もかからなかった。
キヨさんの顔色は良くて今ではすっかり元気になったらしい。
お母さんの煮物を渡すと嬉しそうな顔をして「私なにも用意してないわ」と困っていたけど、帰り際カイロをひとつくれて「風邪ひかないでね」と玄関で見送ってくれた。
そのカイロのおかげで手は温かくて、私は少し遠回りして帰ることにした。