100万回の祈りをキミに
・想いの数だけ
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窓の外は木枯らしが吹いていた。
いつものように学校帰りに病院に行って、506号室の扉を叩く前に亜紀のお母さんに「話がある」と呼び止められた。
脳腫瘍という言葉を立ち聞きしてしまってから2日。
詳しく自分で調べようと思えばできたけど、まだ直接聞いたわけじゃないし安易な先入観を持ちたくなかったから私からお母さんに聞くことはなかった。
……ついに来たかと覚悟をして、向かったのは休憩室ではなく1階のカフェで話をすることになった。
きっと万が一、亜紀が聞いてしまうことを避けたのだろう。
「波瑠ちゃん好きなもの頼んでいいわよ。美味しそうなケーキもあるし、この紅茶セットとか良さそうよね」
メニューを見ながらお母さんが指をさす。
私の不安を取ろうとしてるのか、簡単には話せない内容なのかは分からない。
私も急かしたくないし、覚悟といっても本当に微々たるものだから温かい紅茶を頼むことにした。
暫くして私たちのテーブルにコーヒーと紅茶が運ばれてきた。
お母さんは角砂糖をひとつ入れて、私はふたつ。持ち手の細いティースプーンでくるくると2回かき混ぜてお互いにひと口飲み物を飲んだ。
そして……。