100万回の祈りをキミに
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「波瑠、顔色わるいけど大丈夫?」
次の日の学校。私は昨日から食欲がなくて今朝もなにも食べられなかった。
そして次はグラウンドで体育だというのにジャージに着替える気力もない。
「そんなのでマラソンなんてしたら倒れちゃうよ。先生には私から言っておくから保健室で休んでなよ」
「ありがとう凪子。……うん。じゃ、そうするね」
私はフラフラした足取りで保健室に向かった。
凪子には亜紀のことをまだ話していない。まだ私自身整理がついてないし、これは悪い夢を見てるだけだって言い聞かせている。
保健室には誰もいなくて、私は倒れるようにベッドに横になった。
――『亜紀はこれからどうなるんですか?』
私は昨日、亜紀のお母さんに最後に聞いた。
するとお母さんは『これからあらゆる治療法をやって、先生も全力を尽くすと言ってくれた。だけどもし効果がなく、腫瘍が小さくならなかったら……』
〝冬は越せない〟と声を詰まらせながら言った。
そんなの信じられるわけがない。
大人は大袈裟なことばかり言って、大したことじゃないのに大騒ぎしてマイナスなことばかり言う。
だからどうせ亜紀の病気のことを調べても〝必ず治る病気〟とか〝命の危険性はない〟とかそんな文章が書かれてあるはずなんだ。
それなのに私は指先が震えて、病名を検索することができない。