100万回の祈りをキミに
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学校で私はひとりでいることが多くなっていた。正確には自分から関わることを避けている。
凪子から何度もメールが届いているし、校内で目が合ったりするけど私はそのたびに逃げている。
今の私には心に余裕がない。
口から出る言葉や考えることはマイナスなことばかりで、今凪子と話しても私はきっと傷つけてしまう。
そんな、学校帰り。1台の車が通りすぎて何故か私の前で急ブレーキをかけた。
「あ、あれ?もしかして波瑠ちゃん?」
運転性の窓から顔を出すひとりの男性。
一瞬面倒くさいナンパかなって思ったけど私の名前を知ってるし、なんだか見たことあるような、ないような……。
「俺俺!覚えてない? あ、メガネ違うからかな?」とその人はダッシュボードからべつのメガネをかけてみせた。
黒ぶちメガネにこの顔立ち……あ。
「あ、やっとわかった?久しぶりだね。波瑠ちゃん」
それはすぐるさんだった。
元々大人っぽい人だったのに今じゃ立派な男性になっていて、正直すれ違っても私はわからなかったと思う。
「今から春風のところに行くんだけど、波瑠ちゃんもせっかくだから行かない?」
ドキッとする話題。
だってあの場所はまだ思い出が色濃く残っていて、近づけないというか……怖い。
「いえ、私は……」
なにか適当に用事があると嘘をついて忙しいふりをしよう。
あの場所は絶対にダメだ。
と、その時。後ろから大きなトラックが走ってきて停まってるすぐるさんにププーッとクラクションを鳴らした。
「えーと、私用事があるので……」
「え?ぜんぜん聞こえない。なに?」
トラックの運転手は短期なのか気短なのかずっとクラクションを鳴らし続けて「早く進めよ!」と窓を開けて怒鳴っている。
「とりあえず場所移動するから乗って」
「え……でも」
「いいから早く!」
トラックの迫力とすぐるさんに急かされ、私は車に乗ってしまった。