100万回の祈りをキミに
「そういえば健人と同じ学校なんだっけ?」
「なんで知って……」
「いや、だって制服同じだし。前に健人がそんな話をしてたような気がするから」
私の話なんて私がいない所でしないでほしい。
すぐるさんはコートに行きたいはずなのに私に付き合ってくれていて、ブラックコーヒーを買って飲んでいた。
「健人ってあー見えてすげー真面目でしょ?」
正直どこがって思った。
「人一倍努力家だし、どこに目が付いてんだよってぐらい気を遣うし。今年の夏休みも毎日コートに来てたらしくてさ。そのせいで課題終わんなくて超怒られたらしい」
すぐるさんはクスクスと笑っていた。
「え、海でナンパしてたんじゃないんですか?」
「はは、ナンパなんてアイツにそんな度胸ねーよ。それに練習三昧じゃ可哀想だから海行くか?って会社が休みの日に誘ったんだよ。そしたら練習のほうが楽しいって速攻断られた」
なにそれ。
あんなに教室で『海に行ってナンパしすぎた』とか『海に行きすぎてぜんぜん課題やってない』とかバカ騒ぎしてたくせに。
「健人は努力してる姿とかそういうの見せたがらないから勘違いされやすいけど」
すぐるさんはさっきの言葉に付け加えるように言った。