100万回の祈りをキミに
・弱さと強さ
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今日亜紀は化学療法の他に低体温症療法というものをしていた。
体温を33℃前後に下げて、脳代謝の低下を促進させて脳の血液量を少なくしてるんだとか。
そうすることで腫瘍による脳の肥大を防ぐことができるらしいけど、やっぱり効果には個人差があって亜紀の腫瘍はまだ小さくならない。
亜紀が治療をしてる間、私は休憩室で待っていることにした。するとそこへ着替えを持ってきた亜紀のお母さんが。
「波瑠ちゃん、ここ寒くない?部屋で待っていていいのよ」
「でも亜紀がいないのに部屋にいるのもなんかヘンかなぁと……。大丈夫です。お茶でも飲んで待ってますから」
「そう?待ってて。今着替え置いてくるから」
亜紀のお母さんとはあれから顔を合わせるたびに話すようなった。表面上は気丈に振る舞ってるけど、心身ともに疲れていることは分かっている。
「今日ね、誠凌に亜紀の休学届けを出してきたの」
お母さんは温かいコーヒーを飲みながら言った。
「もちろん亜紀の了承を得てね。3学期までには復帰できるといいけどって本人は笑ってたけど」
「……亜紀に本当のことは言わないんですか?」
ずっと隠してるのにも限界があるし、きっと亜紀は……。