100万回の祈りをキミに




それから暫く経ってカレンダーが11月になった。

雪国では一面真っ白になるぐらい雪が降って、雪かきをしている様子がテレビのニュースで流れていた。

その寒気のせいなのか、私たちの街も随分と今日は冷えこんでいる。


いつものように学校帰りに急いで亜紀の元へと行くと、亜紀が珍しくベッドに横たわっていた。

ノックはしたけど返事がなかったし、もしかして寝ちゃってる……?


起こさないように忍び足で近づくと、私の気配に気づいたのか亜紀が目を開けた。


「わわ、ごめん……!起こすつもりはなかったんだけど……」

「んー大丈夫。寝てたわけじゃないし、ちょっと体が重かったからさ」


亜紀は私が来ると決まってベッドから体を起こす。寝てていいよといくら言っても平気だからって言う。

私が毎日ここに来たら亜紀は休めないんじゃないかな。迷惑になってないといいけど……。

そんなことを思っていると、亜紀は私の両手をそっと包んだ。


「外寒かったでしょ?」

亜紀はいつもこうして自分の体温で冷えた手を温めてくれる。

亜紀の手は本当に優しくて大きくて、包まれると不安もすぐに吹き飛ぶほど安心できた。

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