100万回の祈りをキミに



それに気づいた時、心の鎖が外れた音がした。


「……凪子、私……私ね。亜紀が死んだこと、まだ全然信じられなくて……もう2年が経つのに、ずっとずっと苦しいままなんだ」

はじめて、はじめて〝死〟という言葉を口に出した。

それは私が避け続けていたこと。


亜紀が息を引き取る瞬間も、ぬくもりがなくなってく様子も、声が枯れるまで泣いたことも事実なのに。

亜紀はただ遠くにいっただけだって。


会えなくても、声が聞けなくても、今は地球の裏側にいて、同じ空を見てるんだって。

そこで好きな人と出逢って幸せになっていたとしても構わない。

亜紀が生きてさえいてくれれば。

生きているだけでいいんだって、そんな自分の都合のいい物語を組み立てているけど。

あの悲しみは本物だったから、亜紀はもうどこにもいないんだよね。


亜紀が死んだって認めたら、この会いたくてたまらない気持ちはどこにぶつけたらいいの?


死ぬって、もう亜紀に二度と会えないってことなんだよ。


こんなに沢山の人がいるのに、こんなに沢山の人が生きてるのに、この世界のどこを探しても亜紀はいない。

どこにもいない。

いないんだ。

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