100万回の祈りをキミに




「へ……くしゅん!」

中学1年の球技大会の日。私たちのクラスはすぐに試合に負けて、私はステージに寄りかかりながら座っていた。


「まさか風邪ひいた?」

誰もいないと思って大きなくしゃみをしたのに、なぜかそこには〝亜紀先輩〟の姿。

あの保健室から顔見知りになってみんなと同じように亜紀先輩なんて呼んでるけど、まだぎこちない。

しかもやっぱり他の男子とはオーラが違うというか……いつもキラキラしてて先輩は眩しい。


「いや風邪じゃなくて……ただのくしゃみです」


……私のバカ。

なんでもっと可愛いくしゃみをしなかったんだろう。


「もしかしてこの前、雨に濡れたからじゃない?急に降ってきたもんな」


偶然帰りが一緒になって「あれから頭とか痛まない?」なんて心配してくれて。そんな雑談をしてたら通り雨のようなものが降ってきたあの日。

とっさに先輩は私の手を引っ張って雨宿りできる場所まで走ってくれたけど、私は男子に手を引かれたことも初めてだったから顔から火がでるほど恥ずかしかった。


「ほ、本当に平気です。そ……それより先輩のクラスは試合どうですか?」

「ああ、一応一回戦は勝ったけど次は厳しいかも」


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