100万回の祈りをキミに
私はお父さんと別れてすぐに亜紀の病室へと向かった。
扉の前で深く深呼吸をして、506号室をノックする。
――コンコン。
「はい」
3日ぶりに聞く亜紀の声。
ドキドキしながら扉を開けると、眩しいぐらい窓から光が射しこんでいて。その光の中に亜紀はいた。
「は、波瑠……なんで……」
「亜紀に私の本当の気持ちを伝えにきた」
動揺する亜紀と違って、私にもう迷いはない。
扉を静かに閉めて、1歩ずつ亜紀がいるベッドへと足を進める。私たちの呼吸が同じになる頃には、触れられるほど近い距離になっていた。
「亜紀。私も亜紀のこと見てるのがツラい日もある。背中を擦るたびに痩せたな、小さくなったなって涙を堪える日だってある」
「………」
「だけど、笑えないぐらい苦しい時だって私は遠くで亜紀を見守るなんて嫌だ」
いつも亜紀は私のために自分を犠牲にする。病気で苦しいのは亜紀なのに私の気持ちを優先しようとする。
亜紀はだれよりも優しい人。
そんな亜紀と離れるほうが私は苦しい。