100万回の祈りをキミに





12月。その日は珍しく朝から雪が降っていた。

辺りは一面の銀世界で病院に来る途中、子どもたちが雪だるまを作ったり、ふかふかの雪に足を取られて転んだりして。

雪国の人から見たら笑われるかもしれないけど、それぐらい雪が降るのは珍しい。


「……ん……」 

しかも今日は振替休日で学校は休み。ずっと亜紀と一緒にいられると思ったのに病室の中は思った以上に暖かくて、気づけば居眠りをしてしまっていた。

ハッ!と目を覚ますと、そこにはクスクスと笑っている亜紀の姿。


「よく眠れた?」

「ね、眠れたじゃないよ……!なんで起こしてくれなかったの?」

時計の針はかなり進んでいて、せっかくの時間を無駄にしてしまった……。落ちこんでる私を亜紀は頭を撫でる。


「寝顔可愛かったよ?」

「そそ、そういう問題じゃないの!」

しかもまる椅子に座りながらベッドにうつぶせになってたから、前髪にヘンな跡(あと)が付いてそうだし、最悪だ……。

私がムスッとしていると、亜紀が私の顔を触った。


「波瑠。明日の夜空けておいて」

「え……?」

なにを言ってるのか分からなくて首を傾げた。


「明日、天文台にいこう」

「ええ?」

ビックリしすぎて声が大きくなってしまった。たしかに天文台に行く約束はしてたけど、色々と疑問が頭に浮かぶ。


「外出許可出たの?しかも夜に?」

「ううん。絶対安静だから夜に脱け出すの」

「え、ええ?」

また同じリアクションをして亜紀に「しー」と口を塞がれてしまった。

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