100万回の祈りをキミに
「男子の種目がバスケじゃなくてサッカーだったら良かったですよね」
そう言うと先輩は優しい顔で笑った。そして私の頭をポンポンと叩いた。
「まぁ、勝てるように頑張るよ。だから応援してね」
先輩は自然な流れでやってるんだろうけど、頭も触られただけでこっちは大事件。
「せ、先輩。友達のところに行かなくていいんですか?あっちで呼んでますけど……」
体育館の出入口で「塚本ー!」と名前を呼ばれてるけど、先輩はなかなか動こうとしない。
「いいよ。どうせ大したことじゃないし」
「で、でも……」
「おーい塚本!担任が呼んでるから早く来いよ!」
「ですって。先輩早く行ってください」
っていうか、これ以上は私の心臓がもたない。だって先輩と話してるだけで私の鼓動はバクバクだ。
「もう少しここにいたかったんだけどな」
ドキ……。
先輩と目が合って私はとっさに反らした。
「じゃね、波瑠」
先輩はそう言ってまた私の頭を撫でた。