100万回の祈りをキミに
「俺にはムリっすよ。先輩が思うほどいい人じゃないし、頭の中下ネタのことばっかだし。それに俺年上が好みなんですよねーだからその、すいません」
そんなに大切なら先輩が大事にしなきゃダメだ。
それに先輩の病気は絶対治るし、絶対また元気になる。だからこんな頼みごとなんて聞けない。
聞けねーよ。
「はは、もしもだよ。もしもの話」
先輩はそう言って笑ったけど、軽い気持ちで言ってないことぐらい分かってる。
きっと色々と悩んで葛藤して、それで俺に頼んだことぐらい分かってんだよ。
だけどここで受け入れてしまえば先輩が本当に死ぬみたいで、それだけは絶対にイヤだから。
「彼女だって俺なんかに押しつけられても困りますよ」
名前はハル。漢字は知らない。
先輩がハルハル言うから俺が勝手に覚えただけ。
応援にくる姿も先輩と帰る横顔もおそろいにしてる待ち受けも、全部の顔が幸せそうで。先輩には言えないけどいつもニコニコしてて可愛い人だなって思ってる。
だけど彼女を笑顔にしてるのは先輩だ。
もし、先輩がいなくなったら彼女はどうなるんだろう。