100万回の祈りをキミに






「波瑠おはよう」

次の日の朝。たまたま綾乃と昇降口で会った。

本当に彼氏ができてから綾乃は変わった。すごく大人っぽくなったし持ち物もオシャレだし、なんだか私が知っていた綾乃じゃない。


「久しぶりだね。波瑠とこうして話すの」

「違うクラスになっちゃったからね」

「小学校で6年間も同じクラスだったのにね」

話しやすさは変わってないみたいでホッとした。


「彼氏……できたんでしょ?」

噂で知っただけだし聞いていいのか迷ったけど、私もそれなりに興味はあるし。


「うん。2年の樋口先輩」

樋口(ひぐち)先輩ってたしかバスケ部の人だ。昨日の球技大会で目立ってたし、一番得点を入れた人かなんかで特別賞をもらってた気がする。

私はずっと凪子と話してたから、あんまりよく見てなかったけど。


「ごめんね。二回戦目の試合の時、私大声で応援してたからうるさかったでしょ?」

「いや、全然」

「しかも対戦相手が3年2組だったしね」

そう。亜紀先輩は樋口先輩のクラスに負けて、あのあと敗退になった。それにしてもわざわざ対戦相手のクラスを言う必要ないと思うんだけど、これは……。


「波瑠、亜紀先輩のこと応援してたでしょ?」

……やっぱりそれか。道理で言い方が遠回しだと思った。

たしかに応援はしてたけど、声に出すのは恥ずかしいから心の中でしてたし、なんで分かったんだろう?


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