100万回の祈りをキミに
消せない日々

・曖昧な関係






「藍沢さん~!教室移動一緒に行こう」


高校に入学して2か月。最近はよく安藤さんが私に話しかけてくれる。親睦会の時も一番最初に声をかけてくれたし、人懐っこい性格が凪子と似てるから私も接しやすい。


「早く席替えしたいよね。とくに藍沢さんは一番前だから嫌じゃない?」

「うーん。でもけっこう慣れちゃった……かな」

「私、席っていうか隣の男子が無愛想でムリ!この前教科書忘れて、見せてってお願いしたらすごい面倒くさそうな顔された~」


こういう事例は置いておいて、うちのクラスは比較的みんな仲がいい。

オタク系、ギャル系、チャラ系、地味系、不思議系と色んな人がいるけど仲間はずれとかいじめとかもなくて、けっこう平和だ。


「隣の席になるなら夏井とかがいいよね!」

「え?」

「夏井って毎日明るいし、盛り上げるのうまいし隣になったら元気もらえそうじゃん」


夏井は授業中でも休み時間でもいつも騒いでいて、この前なんてエロ本がどうのとか話してて私は引いてた。


だけどやっぱりみんは楽しそうな雰囲気に釣られるのか夏井が笑ってると「なになに~?」って寄っていったり、「たまには中庭で遊ぼうぜ」と夏井が言うとクラスの半分以上が教室からいなくなる。

あーいうのって天性というか、人を惹き付ける力が夏井にはあるんだろうけど、私の苦手意識は変わらない。


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