100万回の祈りをキミに
走ってる時は普通だったし、べつに走り方を変えたわけじゃないのに急にどうしたんだろう。
捻挫したわけじゃないし怪我したわけでもないから、本当に原因が不明だし。
凪子いわく「毎日部活で疲れがたまってたんじゃない?」と言われたけど、疲れてた自覚もない。
その日の部活は休むことにした。
放課後になってもズキズキ痛いし、時間とともにそれが増してる気がする。……こんなこと今までなかったのに。
「波瑠?」
私を名前で呼ぶのは家族と凪子と数人の女友達と、あとひとりは……。
「亜紀先輩……」
帰りの方向は違うはずなのに、なぜか同じ歩道を先輩も歩いていた。
「ってか足引きずってるけど、どうしたの?」
今は歩き方がヘンだから、なんとなく先輩に見られたくなかったかも。
事情を説明すると先輩はビックリするぐらいまた心配してくれてすぐ病院に行くように言った。
「きっと明日には治ってると思うし大丈夫ですよ」
あはは、と笑って返したら、先輩は痛くない力でコツンと私の頭を叩いた。
「強がってもなんの得もしないよ。なんでもないならそれでいいんだから、とりあえずちゃんと病院に行って」
そういえば先輩はボールが当たった数日間はずっと病院に行くように言ってたっけ。私はなんでも後回しにしちゃうし、ひどくならないと病院に行かないタイプだから。
こんな私にまで気を遣ってくれて、先輩は心配性というか……本当に優しい人なんだろうなぁ。