100万回の祈りをキミに



それから数日が経って痛みもなくなって普通の生活に戻れたけど、唯一違うことは部活を休んでるってこと。

まだ辞める決断ができないし、先生は新しい部活を薦めてくれたりしたけどそれすらもなんだか苦痛だった。


「はぁ……」

昼休み。私は陸上部の部室にいた。

自分のスパイクや運動着を取りにきたけど、やっぱり手が止まってしまう。


部室は憧れで今は自由に使えないけど、いつか上級生になったらちょっと長くこの場所にいて、みんなでお喋りしたり、大会や部活のことで熱く語ったりするのが夢だった。

もし、部活をやめたらここには出入りできないし、私は運動部以外のものに所属することになるだろう。


また大きなため息がこぼれて、私は荷物を抱えて部室を出た。そしてそのまましゃがみこんでしまった。

すると、隣のドアが開く音がして顔を上げると、そこから出てきたのは亜紀先輩だった。


「うわ……ビックリした!」

ですよね。こんな座敷わらしみたいに膝を抱えていたら誰だって驚く。

あー、もうなんでまたこんな時に限って先輩に会っちゃうのかな。

カッコわるい姿とか見られたくないのに……。


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