100万回の祈りをキミに



「お、偶然」

3限目の休み時間。

凪子と別れて6組の教室を出た瞬間、なぜか隣のクラスから夏井が出てきた。

私は自分のクラス以外あまり出入りしないし、行くとしたら6組ぐらいだけど夏井はフラフラと他クラスに行ってはまたバカ騒ぎを繰り返している。


帰る教室が一緒だから仕方ないけど、肩を並べて歩かないでほしい。

なんでいつも歩幅を合わせてくるのかな……。


「期末テストの結果どうだった?」

「なんでそんなこと言わなきゃいけないの?」

「俺数学24点だったんだけどヤバくね?」

「………」


それはヤバいよと危うく話に乗ってしまうところだった。

無視しようと思ってるのに夏井は会話が上手いというか、思わず返事をしてしまうことばかり言う。

だから夏井はすぐ友達ができるんだと思う。


「お前、夏休みさー」

「あのさそのお前ってやめてよ」

女子はそう呼ばれるのが好きなのかもしれないけど、上から目線な言い方だから私は嫌。


「なんで?友達だからいいじゃん」

「……勝手に友達とかやめて」

「じゃ、なに?」

「ただのクラスメイト?」

「だから友達じゃん」


え、そうなの?いや、違うでしょ。

クラスメイトが友達なら同級生も友達になるじゃん。それで最終的には同じ学校ならみんな友達?

だから夏井の距離感っていつも近いのかな。その感覚が私には理解できないんだけど。

でもこれ以上夏井に言っても時間の無駄な気がする。

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