100万回の祈りをキミに
「もうすぐ夏だね。夏休みいっぱい遊ぼうね」
さっき言っていたとおり私たちは中庭にきた。凪子は芝生の上にごろんっと横になって青空を見ている。
……夏休みかぁ。
部活で練習漬けの毎日になると思ってたのに予定がなくなっちゃったな。
「イーグルのライブのチケット当たったら一緒に行こうよ!当たるように神社に願掛けしたからさ」
凪子がハマってるアーティストの名前。
凪子って願掛けとかパワースポットとかそういうジンクス的なのが好きで、頼みごとがあるとよくこうして神社に行くらしい。
私はそういうのあんまり信じないけど。
「ライブってごちゃごちゃしてそうで嫌だなぁ」
「大丈夫!当たったらめっちゃ良い席だから」
それってすごい確率だよね。人気のグループだしチケットなんて絶対……あれ?チケットといえばなにか大事なことを忘れてる気が……。
「あーっ!!」
私が大声を出すと凪子が漫画のように飛び起きた。
「な、なに?どうしたの?」
「そういえば綾乃にチケット貰ったの!」
「え!イーグルの?」
「違う違う。プラネタリウムの」
今のは……うん。私の言い方が悪かった。気を持たせたせいで凪子はちょっとガッカリしてるけど。
ずっとカバンに閉まったままですっかり忘れてたけど、たしかあのチケットって期限があったはず!
夏休み前には凪子を誘わないとって思ってたからそろそろヤバいかも。