100万回の祈りをキミに
「2枚貰ったから一緒に……」
「なんの話?」
背後から聞こえた声。振り向くとそこに亜紀先輩がいて今度は私のほうがビックリしてしまった。
数日振りに会ったんだし何か言いたいのにパクパクと魚のように声が出ない。
「亜紀先輩こんにちは」
そんな中、凪子が普通に挨拶するから少し冷静になって「こ……こんにちは」なんて、私も平然を装った。
「うん。こんにちは。さっきプラネタリウムがどうのって聞こえたけど……」
もしかして大声出してたところも見られてたのかな。恥ずかしい……。
「波瑠が友達から貰ったみたいで。先輩プラネタリウムに詳しいんですか?」
「はは、詳しくはないよ」
なんで凪子はこんなに普通に話せるんだろう?
面識はないし話すのも初めてのはずなのに……。
それにしても先輩の笑う顔って素敵だな。
たった数日会わなかっただけなのに、声も仕草も全部が新鮮に見える。
私がモジモジとして話せないでいる中、凪子がひらめいた!みたいな顔をして不適に微笑む。
「あのもし良かったら先輩、波瑠とプラネタリウム一緒に行ってくれませんか?」
――!!
な、なにを言ってるの?しかも本人に!
「波瑠、元気そうに見えてまだ元気じゃないし先輩が一緒に……」
「凪子っ!」
その口を急いで封じた。
綾乃にも同じことを言われたけど、プラネタリウムは凪子と見るって決めてたし、先輩だってこんなの迷惑だよ。
デートしようって言われたことも本気にしてないし、このタイミングだと催促(さいそく)してるみたいじゃん……。
「俺はいいよ。波瑠さえ良ければ」
先輩がニコリと笑う。
私さえ良ければって……いいに決まってるじゃん。
でも先輩は優しいから断らなかっただけかもしれないし、プラネタリウムとか男の人は退屈なんじゃないの?
そう思いながらも、やっぱり〝嬉しい〟の気持ちのほうが勝っていた。