100万回の祈りをキミに
『波瑠?』
私がもしもしと言う前に先輩の声が耳に響いた。
電話越しの声はちょっといつもと違う感じに聞こえたけど、優しい重低音は変わらない。
『は、はい。波瑠です』
思わずヘンな返事をしてしまった。
『メールしようと思ったんだけど電話のほうが早いと思ってさ』
電話はいきなりハードル高すぎますなんて言えない。
『プラネタリウム日曜日にする?時間とか待ち合わせ場所とかどうしようか。波瑠の都合を教えて』
先輩はなんだか慣れてそうだな……。モテモテだし、女の子と電話なんて何回もしたことあるはずだもんね。
『あ、私が先輩の都合に合わせます。時間とか場所も』
『……もしかしてプラネタリウム俺とじゃないほうが良かった?』
『え?』
『いや、波瑠がムリしてないかなぁって思って』
もしかして私が合わせるなんて言ったから?それは否定的な意味じゃなくて、どうしたらいいのか分からないっていうか……むしろムリしてるのは先輩のほうなんじゃ……。
『わ、私はその楽しみですけど、急にこんな展開になっちゃって緊張してるんです……』
直接は言えないけど、何故か電話越しだと素直に打ち明けることができた。
『緊張なら俺もするよ?』
『ええ?先輩がですか?』
『はは、うん。するする』
……この気持ちはなんだろう。
この電話が先輩と繋がってると思うだけで胸が熱い。
そのあと私たちは時間と待ち合わせ場所を決めながら1時間近く電話をした。